川西 局地戦闘機N1K2-J紫電二一型 「紫電改」
水上戦闘機「強風」をベースにした陸上戦闘機「紫電」は中翼とそれに伴う長い脚、「火星」発動機に合わせた太い胴体、など様々な問題が有った。この欠点を改良すべく低翼とし、主翼形以外をほぼ新規設計した機体が紫電二一型「紫電改」である。昭和19年元旦に初飛行した試作機は紫電の欠点を解消しながら600km/hの高速を発揮し、頑丈な機体と防弾装備の充実、自動空戦フラップの作動も安定し、烈風の開発が遅れる中で当時すでに劣勢になった零戦の後継機として量産が開始されるが空襲による生産遅延により約500機の生産機数に留まった。
発動機:中島「誉」二一型 空冷星型18気筒(1990hp) 最大速度:594km/h 武装:翼内20mm機銃X4
三菱による零戦の後継機開発が滞る中、九七式や二式など飛行艇と水上機の開発を主力とする川西が「強風」をベースにし「紫電」の失敗を経たとはいえ、高性能戦闘機「紫電改」を開発したことに大きな驚きを覚えます。菊原技師の能力もさることながら、自社の得意とする水上機需要が今後減ることから、あえて得意分野を離れたところで老舗メーカーに挑戦し優れた機種を開発する組織としての柔軟さを感じます。
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