Caudron Simoun C.630
1930年代のフランスを代表する高速輸送機。低馬力ながら空力的に洗練された低翼単葉の主翼は木製構造で、胴体はスプルース材の側面にジュラルミンの上下面を合わせた木金混合構造の上に全体を羽布で覆っている。数々の記録飛行にも使用され、1936年、パリ〜東京懸賞飛行では惜しくもゴール目前の九州で不時着している。作家サンテグジュペリも本機で数々の長距離飛行を行っている。特に、1935年のパリ〜サイゴンのレースではル・ブールジュを離陸後、ベンガジからカイロへの途上、砂漠の丘に衝突。救助されるまでの3日間の砂漠放浪中に、「星の王子様」を発想したといわれている。シムーンとはサハラ砂漠に吹く熱風のこと。
コードロン・シムーン!なんという美しいひびきを持った名前であろう。・・・という航空情報別冊「航空史を作った名機100」の駒林栄太郎氏の記述がとても印象的です。サンテグジュペリの乗機として、そして日本では1936年に長駆パリから来日しながら九州の山に墜落してしまったアンドレ・ジャビー機として記憶に残ります。ル・ブルージェの博物館で見た実機は暗い展示室に静かに佇んでいました。
発動機:ルノー6Pdi 180hp 総重量:1350kg 最高速度:310km 乗員:4名
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